ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、ジュネーブ、ソウル、⾹港と各国にギャラリーを構えるPaceギャラリーが、東京・麻布台ヒルズ内にオープン。こけら落としにロサンゼルス拠点のアーティスト、メイシャ・モハメディの新作絵画展「yesterday I was a tiny tube of toothpaste」が2024年9月7日(土)から10月16日(水)まで開催されている。
オープンの前日にはPaceギャラリーのCEO マーク・グリムシャーと、メイシャ・モハメディが来場。今回はその際の様子をレポートする。
1960年、アーニー・グリムシャーが設⽴したPaceギャラリーは現在その⼦息であるマーク・グリムシャーによって受け継がれ、多数の現代作家が名を連ねている。今回オープンした東京・麻布台ヒルズのスペースは、世界で8番目となる。設計はイギリスの建築家 トーマス・ヘザウィック、内装デザインは⽇本の建築家 藤本壮介が手がけている。
白を基調とし、開放感のあるギャラリー内はメイシャ・モハメディの作品で彩られていた。各メディアが続々と集まる中、マーク・グリムシャーとメイシャ・モハメディが登場。
マーク・グリムシャーは今回のオープンについて「非常にワクワクしています。日本のアートの世界はかなり孤立していますが、今回のPaceギャラリーの進出によって、世界との繋がりを築いていきたいと思っています。」と、喜びと共に日本のアートシーンを踏まえた未来図を語った。
20年前に日本で一夏を過ごした経験があるというメイシャ・モハメディは、「今回は家族と一緒に日本に戻って来ることができて嬉しく思っています。皆さんと様々な会話をしながら、新しい気づきが得られたらいいなと思っています。」と想いを語った。こけら落としに選ばれたことについては、特別な事だと感じるとともにプレッシャーを背負っていたという彼女。アメリカやヨーロッパとはまた文化背景の違う日本で、様々な人の目に作品が触れられ、新しい世界が切り開かれることへの期待も口にした。
続けて作品制作における工程を尋ねられると、メイシャ・モハメディは一冊のカタログを手に語り始めた。
「始めにこのようなカタログを作成しています。その中に60年代、70年代、80年代のものを中心に、ビンテージの絵やイメージ、写真、広告などを集めて並べてます。それをもとに5〜7つの色を抽出し、それを元に絵の具を混ぜて実際にその色を作り出していきます。」
作品内に形の似たモチーフが連続して並んでいる部分があることについて問われると、「ステンシルのように、同じものを複製することはしていません。作品内には同じような形のモチーフがあります。これは文字のようなものだと考えてください。アルファベットのように何度も同じような形が現れますが、実際は一つとして同じ形のものはありません。同じような形を組み合わせることによって、ある種のフィーリングを表現しています。」と説明。全ての作品にストーリーがあり、モチーフ一つ一つに意味が込められている。
彼女が表現する「言語」について、マーク・グリムシャーは次のように語っている。
「メイシャはアートにおける言語を作り出しているのです。彼女の作品はある種のマークであって、その中には色々な形や線、エネルギーなどが配置されています。そこに雑誌の切り抜きや、あるいは人生の中の一コマといったようなものを組み合わせ、言語を形成しているのです。形成された言語としての作品を見ると、我々の方の中にもその言葉が伝わってくるような感覚があります。」
記念すべきPaceギャラリーのオープンと、日本で初めての開催となるメイシャ・モハメディの個展。美しい空間に映し出された独自の物語と、その世界観を感じ取って欲しい。
メイシャ・モハメディ「yesterday I was a tiny tube of toothpaste」
会期:2024年9月7日(土)~10月16日(水)※月曜 休館
会場:Pace東京
住所:東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズガーデンプラザA 1F
時間:11:00~20:00
入場料:無料
WEB:https://www.pacegallery.com/exhibitions/maysha-mohamedi-yesterday-i-was-a-tiny-tube-of-toothpaste/