POLA MUSEUM OF ART|銅箔を用いた大規模インスタレーション・HIRAKU Project Vol.15「大西康明 境の石」展

POLA MUSEUM OF ART|無数の銅箔で創り出された大規模インスタレーションが5月19日まで開催中

展示風景:「大西康明 境の石」ポーラ美術館、2023年 Photo: Ken Kato

HIRAKU Project Vol.15「大西康明 境の石」展が、ポーラ美術館にて5月19日(日)まで開催中。銅箔を用いた大規模インスタレーションが、外光が降り注ぐアトリウム ギャラリーで展開される。

アトリウム ギャラリーの壁面を大きな容器のような凹部と捉えた《境の石 凹(おう)に凸(とつ)》では、3つの壁面に取り付けられたさまざまな形の銅箔が、重力から解き放たれたように垂直方向へと展開される。一方、ロビー空間に設置された《境の石 凸に凹》では、大小5つの球体状のワイヤーの表面に、凹面をこちらへ向けた銅箔が、まるで満開の花のように並んでいる。

銅箔は、一般的に電化製品の内側の基盤などに使われ、わたしたちの目の届かない場所で機能している。その銅箔が型取る石の表面の形状は、それぞれが長い年月をかけて地球の表面を転がり、その過程で削られ磨かれてきた物理的な喪失や、そこに至るまでの時間の蓄積を想起させる。

展示風景:「大西康明 境の石」ポーラ美術館、2023年 Photo: Ken Kato

これまでに大西は、接着剤やポリシートなどの工業製品を材料として、空洞や余白、日常的には意識されないような「間」や「境界」を可視化する作品を制作してきた。また近年は、銅箔を河原の石に被せて叩くことによってその形を型取り、それらを大規模なインスタレーション へと構成する作品を制作している。

彼の作品は、そこにないもの、見えないものに焦点を当てることで、凹/凸、ポジ/ネガ、有機/無機といった様々な「境」を観る者に問いかける。石という重厚な物体が、軽やかな浮遊感や、あるいは花びらのような儚さを伴いながら新たな風景をつくり出す様は、この世界を新しい視点で眺め、空間や時間を捉え直す体験をもたらすだろう。

《境の石 凹に凸》(部分)2023年 銅箔 高350.0×幅1076.6×奥行518.5cm Photo: Ken Kato

HIRAKU Project Vol. 15「大西康明 境の石」 会期: 2024年5月19日(日)まで ※会期中無休  会場: ポーラ美術館1F アトリウム ギャラリー  時間: 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) 観覧料:  無料 展覧会特設サイト: https://www.polamuseum.or.jp/sp/hiraku-project-15/

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