TOWA TAKAYA|Solo Exhibition “Contours of the Unseen” at Kamakura Gallery

現代美術家の高屋永遠は、鎌倉画廊にて個展「真空の輪郭」を開催する。高屋永遠は、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーティンズを経て、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ美術学科を卒業。東京を拠点に、土壌、植物、化粧原料などから自作した色材と多層の光学設計を組み合わせ、鑑賞者の位置や光環境に応じて像が変位する「現象」を探究する絵画表現を展開してきた。


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本展「真空の輪郭」では、高屋が長く取り組む「青のシリーズ」の発展である「罔象シリーズ」をはじめ、能登・珠洲の土や砂などのローカルな素材を用いた「大地シリーズ」、そして自然のダイナミズムを極小の視点から見つめる「苔シリーズ」など、多岐にわたる作品群を一堂に展示。また、半円や極度に細長い不定形のキャンバスを用いた作品も出展され、既存の絵画の枠組みへの問いかけを試みている。
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高屋の創作は、「描くこと」を超越し、物質の変容を通して「人間存在と諸事物との関係性」を探究する行為としている。
文化研究者である山本浩貴は、高屋の試みについて、「サイト・スペシフィック性の獲得は地域性(ローカリティ)に対する意識を涵養し、最初期の試みと最新の試みが変化をはらみながらも一つの円環構造をつくっている」と評している。

本展は、資生堂との共同研究で探求されたパール剤を用いた光の揺らぎから、真鍮やローカル素材を混成した画材による地と図の反転、そして能登半島地震の復興支援を目的とした作品制作へと至る、高屋の芸術実践の「有機的な円環」を明示する待望の機会となる。刹那と悠久、極小と無限、そして存在と無。多層的かつ可逆的な時空間の認識へと鑑賞者を導く、高屋の最新の「現象の絵画」を直接体験できる機会となっている。高屋からは以下のようなステートメントが届いている。
「真空の輪郭」は、空無ではなく関係の縁を隠喩します。私は色を単なる情報としてではなく、展示環境や鑑賞者に応答するような生命のようなものとして扱いながら制作をしています。自然環境から採取した土・植物・化粧原料・金属などから自作した色材を光学素子として捉え、反射・屈折・散乱といった素材本来の自在なあり方を探究しています。
鑑賞者の眼差しの変化と光環境に応じて、絵画空間は常に異なった様へと立ち上がり、実在光のもとで像は現象へと転じます。作品は、環境と身体が共鳴することで感じることのできる現象的なものであり、開かれていく「経験」です。
本展では、質感の位相、視差の臨界角、各絵画層間の反射など素材の特性の可視化を試みながら、輪郭=境界のゆらぎとして考察していきます。
ー高屋永遠

会期は11月15日から12月25日まで。尚、初日の11月15日の16:00からはオープニングレセプションが開催され、12月21日14:00からはアーティスト兼キュレーターの黒沢聖覇と臨床心理士の中村直子を迎え、高屋の作品と作家性を中心にしたクロストークが開催される。
高屋永遠 「真空の輪郭」
2025年11月15日–12月25日
休廊: 日曜・月曜・祝日(11月24日)
11月15日16:00– オープニングレセプション
12月21日14:00– クロス・トーク: 黒沢聖覇(アーティスト・キュレーター)/ 中村直子(臨床心理士)/ 高屋永遠
作家在廊日 毎週土曜日