KANAKO SAKAI / fluss|JFW NEXT BRAND AWARD 2024受賞ブランドが持ち味を活かす

KANAKO SAKAI / fluss|JFW NEXT BRAND AWARD2024フィジカル部門でグランプリを獲得した「カナコ サカイ」がランウェイショーを開催。審査員特別賞の「フルス」はコレクション展示

KANAKO SAKAI SS24 Photo: ©️KANAKO SAKAI

今後グローバルにファッション業界で活躍が見込める新しい才能を育成・支援していくことを主旨とし発足したサポートプログラムJFW NEXT BRAND AWARD 2024のフィジカル部門でグランプリを受賞した「カナコ サカイ」が初のランウェイショーを開催。審査員特別賞を受賞した「フルス」は東京、渋谷ヒカリエの8階にある展示スペースCUBEにてコレクションを展示した。

KANAKO SAKAI SS24 Photo: ©︎KANAKO SAKAI

主題は「ようこそ」。ブランドの自己紹介の意を込め、自身の哲学と日本の伝統技術を全面に押し出す

今回初めてランウェイショー形式で発表した「カナコ サカイ」のサカイカナコは、2017年にパーソンズ美術大学を卒業。在学中から「3.1 フィリップ リム」や「プロエンザ スクーラー」のデザインチームで経験を経て、帰国後も国内外のデザイナーズブランドに勤務。2021年に独立し、自身のブランドを立ち上げた。クリーンなカッティングと、独特で多彩な表情を持つ素材選びと色遣いの組み合わせ、そして伝統技術に新たな解釈を加え現代的に再構築したアイテムをもとに、日本が世界に誇る文化とものづくりの技術を、ブランドのクリエイションに乗せて世界に発信していくことをミッションに掲げている。8月28日ヒカリエAホールで開催されたRakuten Fashion Week Tokyo 2024年春夏のオープニングを飾った本コレクションは「ようこそ」を主題に、自由を纏うことに対する喜びやブランドの根幹にある日本の伝統技術に対する畏敬の念を込めたイントロダクション的な意味合いを感じさせた。ショー後の授賞式では、「みなさん、どうでしたか?楽しんで頂けたなら嬉しいです」と話した。

また、「カナコ サカイ」と並び、同アワードの審査員特別賞を受賞した「フルス」も、8月28日から3日間、ヒカリエ8階のギャラリースペース、8/ CUBE1.2.3にてコレクションを展示した。2022年春夏に「フルス」を立ち上げた児玉 耀は、立教大学在学中にここのがっこうでファッションデザインを学ぶ。卒業後はセントマーチン美術大学に進学。在学中「トムブラウン」「ポーツ1961」のデザインチームにてインターンを経験。卒業後、国内ブランドでデザイナーを経験した後、独立に至る。

fluss SS24 Photo: ©︎fluss

非現実的で現実的であり、柔らかく鋭い感覚は自らの記憶と強固な思考に根差す

ロマンチックでありたい、と願うこともロマンチックな視座の一つであり、空想を思い浮かべながら現実を見る眼を保つことにもなる。ロマンチシズムを眼差しながらも空想と現実を行き来し、そこに淡い日常性や人間の本質、灰汁のようなニュアンスを様々なモチーフにしながら洋服の質感に落とし込んでいく児玉の術は、着実に精度を上げており、彼の創作精神を包み込むような思考はファッションウイークの関係者だけではなく、ギャラリーを通る人々の目にも止まっていた。児玉は「展示会では、自分に関わる人たち以外の方々に見てもらう機会が少なかっただけに、このような機会を得ることができて嬉しく思います。今後もまずは自分のクリエーションを色々な意味で拡げることに注力したい」と語っている。

>QUOTATION FASHION ISSUE vol.39

QUOTATION FASHION ISSUE vol.39

The Review:
SS 2024 WOMENS / MENS
PARIS MILAN LONDON NY TOKYO
COLLECTION

無垢な想像力が空洞化寸前の
消費型コレクションサーキットを扶く

The interview
観たい、訊きたい、知りたい
現代のミステリオーソたち

Gianluca Cantaro
PROTOTYPES
Ludovic de Saint Sernin

CTR IMG