EVENT|7月4日より開催されている「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」、会場の様子をレポート

東京都庭園美術館では、7月4日(土)から9月13日(日)の期間、「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」を開催している。20世紀を代表する陶芸家、ルーシー・リー。日本国内では約10年ぶりの本格的な回顧展となる。

井内コレクションをはじめとする、国内の名品67点が集結
オーストリア・ウィーンにユダヤ人家庭に生まれたルーシー・リー。1938年に第二次世界大戦中にナチス政権の迫害を逃れイギリスに渡り、その後の制作拠点となった。
本展ではルーシー・リーの作品は67点が展示、そのうち関西の実業家・井内英男、美佐子夫妻が1980年代から収集してきた井内コレクションが19点にのぼる。
その他、リーと交流のあった作家たち、ウィーンで出会ったヨーゼフ・ホフマン、渡英後に知り合ったバーナード・リーチやハンス・コパー、濱田庄司などの作品も多数展示され、東西の世界を跨いだ作り手たちの作品から、リーの作風への影響も色濃く見て取れる構成となっている。
アール・デコ建築とリーの作品が織りなす美しい展示空間
日本のアール・デコ建築の傑作として名高い、旧朝香宮家の邸宅である東京都庭園美術館は、繊細かつ優美なリーの作品が際立つ空間だ。
4章構成となり、ウィーンでの初期制作、渡英後、東洋文化との出会い、リーの作品スタイルの確立と、彼女が身を置いてきた制作背景の変遷を追って鑑賞することができる。

ルーシー・リーの軌跡 ー ウィーンからロンドン、東洋文化との出会い
イントロダクションのコーナーには本展のメインビジュアルの青釉鉢が展示されている。鮮やかな青とそれに対比するかのように縁どられた金色の滑らかな釉薬が特徴。小ぶりながらも高さのある高台と優美な曲線を描くフォルムが生み出す、リーならではの作品だ。

青釉鉢
1980年頃

花器
1970年頃
ピンクとグレーの優しい色合いが溶け合うように粘土が渦を巻く練り込みの技術を用いられた作品では、溶岩釉と呼ばれる釉薬を使用している。マグマから生み出されたかのようなゴツゴツした質感、無数の細かい穴ができるこの釉薬をリーはとても気に入り、積極的に制作に取り入れていた。

左:溶岩釉鉢 / 右:練り込み花器
1980年頃
ロンドンに渡り、制作パートナーとなったハンス・コパーとの共作も並ぶ。コパーはろくろでうつわを成型し、リーはそれに対しデザインや装飾を加えていた。

コーヒーセット
1955年頃
当時、リーと交流のあった作家の作品も多く展示されているので、作風の比較やお互いの影響などを感じ取ることもできる。
イギリス人の巨匠であり、日本の陶芸に精通していたことでも知られるバーナード・リーチ。彼は東洋文化の多大なる影響をリーにも与えることとなった。リーチは当初リーの作品を「人間味の感じられない作品」と酷評し、リー自身その言葉にもがき苦しんだ時期もあったとされる。しかしその後、リーは彼女自身の作風を確立、後年にリーチは「彼女にしか作り出せない作品」と、リーに対する評価を大きく変えることとなる。

蛸図大皿
1925年

左:まないた皿 1969年頃 / 右:大皿 1970年頃

刷毛目珈琲碗セット
1925年
最後のコーナーは、壁一面がペールピンクに彩られ、柔らかさと儚さを持ち合わせるリーの世界観に入り込んだような空間になっている。リーが長い年月を経て行き着いた彼女の作風を代表するエレガントで発色の美しい作品や、「掻き落とし」と呼ばれる多数の繊細な線が織りなされた作品が数多く並ぶ。

ブロンズ釉花器
1980年頃

白釉鉢
1970年代

黄釉線文鉢
1972年頃

青釉鉢
1984年

マンガン釉線文鉢
1970年頃

白釉ニット文鉢
1984年頃
本展は、東京都庭園美術館では9月13日(日)までの開催。その後、三重県立美術館、大阪のあべのハルカス美術館へと巡回する。
「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」
会期:2026年7月4日(土)〜 9月13日(日)
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
時間:10:00~18:00 ※最終入館 17:30 ※月曜休館
入場料:一般 1,400円/大学生 1,120円/高校生・65歳以上 700円
WEB:https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/lucie-rie/