FEATURE|ジル・ファーマノフスキー&河村康輔にインタビュー

世界的UKロック・バンド Oasis(オアシス)。人気絶頂の彼らを1994年から2009年にかけて撮影した写真家 ジル・ファーマノフスキーの作品をもとに、河村康輔のコラージュによって新たなエッセンスが加えられた作品による企画展「Oasis Origin + Reconstruction」が12月8日まで開催中。仕事を通してはもちろん、一ロックファンとしてもOasisを見つめてきた2人が、今表現するものとは?作品を手がけた2人が会場となるNew Galleryに来場した今回、これまでの活動やコラボレーションについて、そしてOasis再結成に関する想いについてなど話を聞いた。

写真家 ジル・ファーマノフスキー

――今回河村さんとのコラボレーションと、日本での展示開催について、どういった印象を受けましたか?

どちらもとてもワクワクしています。河村さんに関しては、今回のお話をいただく前までは存じ上げなかったんですが、ネットで検索をして彼の作品を見た時に、この人とはぜひ一緒に仕事をしたいと思いました。今回コラボレーションできたことをとても嬉しく思っています。

――日本で展示会を行うということは、他の国で展示することと何か違いはありますか?

日本という国はアートに対する心美眼が非常にあると感じています。アートに限らず、ファッションやカリグラフィー、タイポグラフィーなど、どれをとってもレベルが高く、目の肥えた人がたくさんいて、世界トップのクオリティを持った国だと思うのです。日本には何度も来たことがあるのですが、来るたびに感心しています。

――1994年から2009年にかけてOasisの撮影をされてきて、それがご自身の最高傑作であるとお伺いしました。そう考える理由とは?

Oasisと仕事を始めた頃、私はすでに40歳くらいでした。音楽の世界で写真を撮って22年ほど経っていて、経験もかなり積んでいたんです。自分がどういった形で仕事をして、何をやらなければいけないかを良く分かっていました。それと同時に、Oasisは近くで私が写真を撮ることを受け入れてくれました。その2つの組み合わせによって、彼らの素顔をはじめ、バンドを語る上で重要な幅広い写真からなるポートフォリオを完成させることができました。そういった理由から、最高傑作になったと考えています。

――Oasisを長期間撮影し続けていて、気づいたことや感じたことはありましたか?

彼らは自分たちがやり遂げるべきことを分かっているようでしたし、自分たちが背負っている運命を自覚しているようでした。バンドとしての活動の中では、いい変化もあれば、良くない変化もあったと思いますが、その中でも自分たちが頂点に登り詰めるのだと初めから分かっている印象でした。初めの頃は強がっているのかなと思っていたのですが、そうじゃないとすぐに分かりました。

――ご自身にとって、Oasisの1番の魅力は何ですか?他にもロックバンドをたくさん撮影されてると思うのですが、 その中で他のアーティストと違うと感じることはありますか?

結局は音楽性ですね。そして遺伝子です。音楽は関わる人の遺伝子の組まれ方によって、創造される音楽が違うと思うんです。特にロックバンドは、そのメンバーが音楽性に影響します。その中でも兄弟とか姉妹とか、本当に血が繋がってる人がいると他にはない独自の化学反応が起きると思うんですよ。Oasisの場合は、その核に必ずギャラガー兄弟がいます。

――Oasisの再結成が決定しましたが、これからの活動は?

また一緒に仕事ができることを願ってますし、実際に彼らからも「もちろん来ていいよ」とすでにお誘いをいただいています。

コラージュアーティスト 河村康輔

――現在のコラージュの手法に辿り着いたきっかけは?

最初は特に深い理由はなく、シュレッダーにかけたものを貼って柄を作っていました。1年くらいそういったコラージュをしていたら、ふと、素材をどこまで引いていけるんだろうと思ったんです。手ブレした写真ってあるじゃないですか。そんなようなものを意図的にコラージュで作れたら面白いなと思って。人の目って5m、10mと離れてみた時に、ブレた写真でもある程度補正して綺麗に見せてくれるのですが、絵でもそれができるんじゃないかなって。最終的にバラバラになったパーツを再構築して見ていく時、 近くだとよく分からないのですが、立てかけて、少し引いて見るとちゃんと対象物を識別できるんですよね。そういう視覚の効果を使って遊べないかなと考えたのが最初のきっかけでした。

――今回のジルさんとのコラボレーションについて、最初の印象は?
やっぱり著名なアーティストの方なので、とても光栄でした。あと、本当に作品を素材として使わせてもらえるんだと思いましたね。写真は既に作品として完成しているので、それに手を加えるというのは大変なことですし、すごく嬉しかったという印象です。

――ギャラガー兄弟の顔が合わさったメインビジュアルは、再結成のイメージにピッタリですね

メインビジュアルを制作していた頃は、まだ再結成のニュースは出ていなくて、本当に偶然でした。再結成すると聞いてすごく驚いたし、再結成にぴったりなビジュアルでとてもラッキーだったなと思います。すごいタイミングでした。

――ご自身もOasisのファンであるとお伺いしました。再結成について、ファンの目線ではどのように感じましたか?

願望としては、またいつかOasisという形でライブを見ることができたらいいなとずっと思っていました。ただ兄弟間の問題だったし、他人同士で組むバンドの解散より複雑なのかなと感じていたので、再結成は正直難しいんじゃないのかなとも思っていたんですよね。解散してから時間が経って期待感も薄れていて、ちょっと諦めもありました。
でも1年くらい前から再結成するかもしれないという噂を聞きはじめて。ちょっと期待しつつ、最初はあんまり信じていなかったのですが、最終的に音楽関係の知り合いから確実な情報を聞いた時は、信じられないのと、すごく嬉しいのと、本当に信じていいのかなという思いでした。今でもライブを見るまでは信じられないのですが、ライブチケットが販売されているのを見たりして、真実味がどんどん増しています。期待と願望が大きかった分、やっぱりすごく嬉しいですね。

「Oasis Origin + Reconstruction」

会期:2024年10月31日(木)〜12月8日(日)※11月25日(月)は休廊
会場:New Gallery
住所:東京都千代田区神田神保町1-28-1 mirio神保町 1階
時間:12:00〜20:00
WEB:https://newgallery-tokyo.com/oasisoriginreconstruction

>QUOTATION FASHION ISSUE vol.40

QUOTATION FASHION ISSUE vol.40

The Review:
FW 2024-25 WOMENS / MENS
PARIS MILAN LONDON NY TOKYO
COLLECTION

服に封じられた謎、即刻解いてみせます
但し、最後の一行まで読んでくれるなら

The interview
真理、逆説、仕掛け、設計…
すべてが超一級の現代のミステリオーソたち
Y/PROJECT Glenn Martins
NAMACHEKO Dilan Lurr
mister it. 砂川卓也
Fashion Journalist Asley Ogawa Clarke
Fashion Journalist Gianluca Cantaro

CTR IMG