√K Contemporary|三上晴子没後10年追悼展「MIKAMI MEME 2025|三上晴子と創造のミーム」

√K Contemporary(ルート K コンテンポラリー)では、10月18日(土)から 11月22日(土)の期間、三上晴子(1961-2015)の没後10年追悼展「MIKAMI MEME 2025|三上晴子と創造のミーム」が開催される。
メディアアートの先駆者の1人として知られ、その発展に大きく寄与したアーティスト、三上晴子。彼女が2015年に急逝して、今年で10年を迎える。
1980年代半ばに鉄のジャンクによる作品で脚光を浴び、脳とコンピュータ、身体と免疫などへとテーマを展開、90年代前半のニューヨーク滞在を経てインタラクティブアートへと表現を移行。その後20年間、国内外のメディアアート・シーンで活躍するとともに、多摩美術大学で多くの学生を育成。三上の作品、人となりは、現在も人々の記憶に鮮明にとどまり、思考を触発し続けている。
本展では、三上と出会い対話をするなかで、彼女からミーム(文化的遺伝子)を受け継ぎながら、独自の世界を生み出したアーティストたちによる作品を紹介。80年代後半に三上と共作を発表した飴屋法水、00年代前半に多摩美術大学情報デザイン学科で三上の助手を務めた山川冬樹、同学科のスタジオ5に所属した平川紀道、三原聡一郎、毛利悠子、やんツー。本展の作品そして彼女彼らの内部には、意識・無意識的に関わらずMIKAMI MEMEが流れているといえるだろう。
飴屋法水《タイトル未定》(2025)

1987年に飴屋と三上との共同企画として発表された伝説的な演劇パフォーマンス《バリカーデ》(東京・大崎高周波鋼業跡)の一部を抽出したインスタレーション。
平川紀道《bad process / bad loop [ap-perception / positive feedback]》(2025)

ビデオ・フィードバックの間にコンピュータを挟むことで、機械自身が「視ること自体を視る」、つまり体験者のいない自走する《Eye-Tracking Informatics (ETI)》(三上晴子、2011)のような状態を提示する。平川がプログラミングを担当した三上晴子の《ETI》、そして2003年に平川が多摩美大生の時、「メディア芸術研究室ワークショップ「空間-身体:プロセスとループ」(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC])で展示したグループワークを念頭においた習作。
三原聡一郎《無主物(Res Nullius)》 (2020/2025)

会場の空間内にある水の循環を可視化する作品。空気中の湿度を凝縮し、結露として顕在化させてゆく。水の存在は生命の兆候であり、生命を扱ったアートの実践の中でも、三上晴子が行った免疫やウイルスというテーマの先駆性が意識されている。
毛利悠子《アーバン・マイニング:多島海 #4》(2015)

空き缶をキューブ上に圧縮した土台にタンバリンが屹立する本作は、人類を通して都市自体が見た夢をマイニングする彫刻である。三上晴子が亡くなった年に毛利が発表した本作は、1980年代に三上が鉄やケーブルなどのジャンクを素材にインスタレーションを展開したことにも重ねて見ることができる。
山川冬樹 from グランギニョル未来《Information Weapon : Salvaged by Grand Guignol Mirai》

アートユニット「グランギニョル未来」のメンバーであり、かつて三上の助手だった山川冬樹は、2001年に三上からエディション外の《Information Weapon》を”廃棄物”として譲り受けていた。時を経て東京電力福島原子力発電所事故が発生し、それを受けて帰還困難区域で企画された“見に行くことができない展覧会”『Don’t Follow The Wind』に参加することとなったグランギニョル未来は、「批評的企て」として廃棄物となったInformation Weaponを作品《デミオ福島501》のなかに組み込んだ。本展で山川は”作家”ではなく”仲介者”として、あるいは亡き三上のかつての”助手”として、一旦は帰還困難区域に廃棄された三上のInformation Weaponをパフォーマティブにサルベージしてみせる。
やんツー《(con)sequences #2》(2025)

菅野創との共作によるドローイング・マシンによるシリーズ「SDM (SENSELESS DRAWING MODULES)」(2011)を経て、個人名で発表された《(con)sequences #1》(2023)の改良版。色ペンを付けたXYプロッターが、人の存在や音に応じて稼動することで、環境がドローイングを続けていく。三上の遺作《欲望のコード》(2010)での複数のモジュールが蠢くシステムとの親和性をもつ。三上はSDMを評価していたという。
MIKAMI MEME 2025|三上晴子と創造のミーム
会期:2025年10月18日(土)~ 11月22日(土)
会場:√K Contemporary(ルートKコンテンポラリー)
住所:東京都新宿区南町6
時間:13:00〜19:00 ※日・月休廊 ※11月3日(月・祝)は開廊
WEB:https://root-k.jp/exhibitions/mikami-meme-2025/