Pace gallery|Tara Donovan Solo Exhibition

Pace gallery|Tara Donovan Solo Exhibition

Tara Donovan, Untitled (Lever House Project), 2009 polyester film 14′ 6″ x 29′ 1-1/2″ x 2′ 5-1/4″ (442 cm x 887.7 cm x 74.3 cm), overall installed No. 37893 ©Tara Donovan, courtesy Pace Gallery

Pace 東京では、2025年5月17日から6月28日まで、タラ・ドノヴァンの過去20年間の作品に焦点を当てた個展を開催。 米国の作家、ドノヴァンにとって東京での初個展となる本展では、2003年から2024年の間に制作された彫刻やインスタレーションが 一堂に会す。 ドノヴァンは、1990年代後半から2000年代前半にかけてキャリアをスタートさせ、複数のメディウムと次元にまたがる、プロセスやシステムをベースにした作品で知られる。

Tara Donovan Haze, 2003 translucent plastic drinking straws 9′ × 15′ (274.3 cm × 457.2 cm) No. 94010 ©Tara Donovan, courtesy Pace Gallery

カリフォルニアのライト・アンド・スペース運動、ミニマリズム、ポストミニマリズムの造形言語を用いながら、日常的な素材や品々——ボタン、プラスチックのストロー、発泡スチロールのカップ、鉛筆、CD-ROM、虫ピンからレディメイドのスクリーンやスリンキーのおもちゃまで——を巧みに操り、自在に形を変える彫刻、インスタレーション、ドローイン グ、版画に変容させ、人間の知覚の可能性と限界を探求し続けている。彼女の現象学的な作品は、非伝統的な素材を本来の形で、あるいはそうではない形で使用することで、それらの根本的なエッセンスや、日常的に使われてきた物としての歴史を消し去ることなく視覚的に見事な造形物へと昇華させている。

Tara Donovan Untitled (Mylar), 2011 Mylar and hot glue 47″ x 41″ x 38-1/2″ (119.4 cm x 104.1 cm x 97.8 cm) No. 54584 ©Tara Donovan, courtesy Pace Gallery

ドノヴァンは最近、コネチカット州グリニッジのブルース美術館で「Tara Donovan: Aggregations」(タラ・ドノヴァン:集合体)と題された個展を開催しており、その作品はニューヨークのメトロポリタン美術館、ホイットニー美術館、ロサンゼルスカウンティ美術館、ボストン美術館、チェコのクンストハレ・プラハなど、世界中の多くの美術館に収蔵されている。また、2005年には第1回カルダー賞を、2008年にはマッカーサー財団の「ジーニアス・グラント」を受賞している。 Paceでは2005年からドノヴァンの作品を発表しているが、今回の東京での個展は12回目の展示となる。

Tara Donovan Stratagem IX, 2024 CDs 102-1/4″ × 12″ × 12″ (259.7 cm × 30.5 cm × 30.5 cm) No. 91443 ©Tara Donovan, courtesy Pace Gallery

本展は、過去20年にわたる彼女の活動の変遷を明らかにし、その卓越した技術と、彼女が長く関心を寄せてきた蓄積、集合、反復といった実践の数々を浮き彫りにする。

展示作品のうち、もっとも初期の作品には、半透明の飲料用ストローで作られたサイト・レスポンシブな(その場に合わせて形状が決まる)彫刻《Haze》(2003年)や、虫ピンを摩擦と重力だけで一つの塊にした立方体の彫刻(2004年)などが挙げられる。 後者のシリーズは現在、ニューヨークのメトロポリタン美術館とボストン現代美術館に収蔵されている。

また、2011年にマイラー (プラスチックフィルム)とグルーガンを使って制作された高さ約1.2mの彫刻は、幾何学的な形状に加えて、有機的で起伏のあるフォルムの探求を物語っている。 近作には、スリンキー(バネ状のおもちゃ)をカットして再構成した2024年の壁面彫刻や、本展のために特別に制作した2025年のまち 針で構成されるドローイングなどがある。

さらには、CD-ROMを拾い集めアップサイクルし、コンクリートの台座の上に垂直に並べた彫刻《Stratagem IX》(戦略 IX)(2024年)も展示される。高さが約2.6メートルある本作は、コンパクト・ディスクという平凡で時代遅れのメディアに新たな命を吹き込む。時間帯や鑑賞者の視点によって、屈折性のある彫刻の表面にさまざまな光学的効果が現れている。まるで生きているかのような《Stratagem IX》は、空間を横切る鑑賞者の身体に直接影響され、変幻自在に反応する。

Tara Donovan Untitled (Pins), 2004 straight pins 39″ x 39″ x 39″ (99.1 cm x 99.1 cm x 99.1 cm) No. 37361 ©Tara Donovan, courtesy Pace Gallery

東京展に発表される作品のすべてが、思いもよらない素材に模様や秩序を見出し、それらの素材をプリズムとして利用することでさまざ まな具体的な体感をもたらすことができるドノヴァンの芸術的才能を明らかにするだろう。 ドノヴァンの彫刻は、2025年4月18日から10月5日までバンクーバー美術館で開催されるグループ展、「Postcards from the Heart: Selections from the Brigitte and Henning Freybe Collection」(心を込めたポストカード:ブリジットとヘニング・フレイべ・コレクション展)に展示される。また2026年には、シアトル美術館でアレクサンダー・カルダーとの2人展にて、両者の作品が対話のように展示される予定。

Tara Donovan

2025年5月17日(土)- 2025年6月28日(土)

Pace ギャラリー 東京都港区虎ノ門 5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザ A 1-2 階

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