アート界をけん引する寺田倉庫による「TERRADA ART AWARD 2025」のファイナリスト5組に授与される審査員賞が発表された。それに伴い開催されている作品展の様子をレポート。

寺⽥倉庫株式会社が主催する現代アートアウォード「TERRADA ART AWARD 2025」のファイナリスト5組に授与される審査員賞が発表された。
本アウォードでは、毎回国内外から寄せられた多数の応募の中からファイナリストを選出。過去の受賞者の多くはその後もアートの世界で幅広く活躍をしている。
国際的な視点と現代アートに関する深い見識を持つ審査員11名によって、5名のファイナリストが選出。各々に審査員賞が授与され、天王洲で開催中の「TERRADA ART AWARD 2025 ファイナリスト展」にて展示されている。
TERRADA ART AWARD 2025 審査員賞
金島隆弘賞|谷中佑輔
神谷幸江賞|是恒さくら
寺瀬由紀賞|黒田大スケ
真鍋大度賞|藤田クレア
鷲田めるろ賞|小林勇輝
金島隆弘賞:谷中佑輔

ベルリンを拠点に活動を行う谷中佑輔の作品は、審査員の金島は作品の難解さについて言及するとともに、現在社会に対する谷中の視点を称賛している。
楽器でもあり彫刻でもあるオブジェが、スペースの中央にぶら下がる。雅楽器の笙のようなものが上部に配置され3方向に吹口があり実際に演奏することができるインタラクティブ作品にもなっている。


iPS 細胞に着想を得て身体の表象をガラスやブロンズで構成した作品、壁一面に月の満ち欠けと生命や身体の機能などをリンクさせた絵、複数作品でその世界観を作り上げている。
神谷幸江賞|是恒さくら

鯨と人間の関わりをテーマに10年ほど活動を続けていると話す、是恒さくら。かつて、鯨の部位は素材として様々な道具を作るために使われていたが、今ではプラスチックなどの素材が主流となり使われることがなくなったという。是恒は全国各地で鯨の話を聞き回る中で、素材の収集も行っていった。彼女は空想の世界を広げ、集まった鯨の素材を新たに玩具として生まれ変わらせた。
自然と人間の生活、伝統技術などに立ち返った心温まる作品群が並ぶ。

寺瀬由紀賞|黒田大スケ


黒田大スケが「彫刻家」として動物のキャラクターとなり登場、即興で会話が進んでいく映像作品となっている。黒田は実際に彫刻家をリサーチし、彼が人体彫刻にどう向き合ってきたのかという点に興味を持って、複数の彫刻家としてキャラクターを演じている。コミカル且つシュールに繰り広げられる黒田の一人劇の中で、彫刻家とは何か?という答えを探っていく。
真鍋大度賞|藤田クレア

植物がメインモチーフとして使われている作品だが、いずれも人間のエゴによる弊害や理不尽さなどを表現している。コミュニケ―ションがテーマでもある作品だ。
メカに動かされる植物は、効率化のみを追求され植物本来の動きやあるべき美しさが失われている。昨今よく使われるタイパ、コスパなどの表現への疑問を投げかけ、自然本来のあるべき姿への回帰や、余白のある時間の使い方を問いただす。

鷲田めるろ賞|小林勇輝

ブルース・リーによる「ジークンドー」の基にもなった中国武術「詠春拳」を習得し、パフォーマンスアートとして昇華させた小林勇輝。
展示スペースを「詠春堂」という道場に見立て、人の形を模した「木人」と呼ばれる立体物が数体配置されている。作品の中には彫刻として作り上げた棍(こん)と呼ばれる長い棒状のの武器なども。アート作品でありながらも、実際の稽古で彼が使用している道具でもある。展示スペースを「詠春堂」という道場に見立て、人の形を模した「木人」と呼ばれる立体物が数体配置されている。作品の中には彫刻として作り上げた棍(こん)と呼ばれる長い棒状のの武器なども。アート作品でありながらも、実際の稽古で彼が使用している道具でもある。

審査員の鷲田は、アートからかけ離れた詠春拳という武術とその世界観が、アート作品としての高い完成度に繋がっていること、その両軸に正面から取り組んでいる小林に敬意を払うと同時に、作品としての面白さを称賛している。
「TERRADA ART AWARD 2025 ファイナリスト展」
会期:2026年1月16日(金)~ 2月1日(日)
会場:寺田倉庫 G3-6F
住所:東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号
時間:11:00~18:00 ※最終入館17:30
入場料:無料
WEB:https://www.terradaartaward.com/ja/