UNDERCOVER|35周年の時間が高橋の空想の中で一つの作品群となる


UNDERCOVER AW2024-25 COLLECTION NOTE Photo: Courtesy of UNDERCOVER
3月4日17時(パリ時間)、UNDERCOVERは2025-26年秋冬をショー形式で発表する。このショーは35年を記念したコレクションであり、高橋盾にとって「これまでにない時間」を意識する創作となる。その時間とは、結び続けてきた結晶(UNDERCOVERにとっての記録であり、記憶であり、音律でもある)を見つめ直すことから始まる。
2004-05年秋冬「but beautiful…part parasitic part stuffed」はUNDERCOVERの歴史を代表するコレクションの一つ。2004年から2017年の間、4シーズンに渡って発表された「but beautiful」の始まりは、主に二人の女性アーティストへの眼差しがベースとなっている。
一人目のフランスのぬいぐるみ作家、アン・ヴァレリー・デュポンが作るぬいぐるみは顔中に縫い跡が残った退廃的で不気味な生々しさがある。服を作ったことがない人がぬいぐるみのような服を即興的に作っていたとしたら…という高橋の浮遊する意識から拡がる世界と合致する。今回のコレクションでは、再び彼女の手仕事と向き合うことになるのかもしれない。
二人目はパティ・スミス。UNDERCOVERのために書き下ろした詩のタイトル「neoboy」を、2004年秋冬コレクションの主題にしたことを始め、高橋のミューズの一人といっても過言ではない説明不要の人物像であり、この「but beautiful…part parasitic part stuffed」は彼女のスタイルと呼応している。
そうはいっても今回のコレクションは懐古趣味でも、リメイクコレクションでもない。元来、高橋は過ぎたコレクションばかりに想いを馳せるタイプではなく、常に今の気分と先を見据えた姿勢に重きを置いている作り手。ショーの直前に配信されたコレクションノートには「今回私はこの私的ベストコレクションを当時から20年経った今、私が感じる時代感と大人のカジュアルスタイルを中心に生まれ変わらせようというのがテーマです」と語っている。仮面の下にどのような空想と現実の狭間を描くのだろうか。
UNDECOVER AW2025-26 Livestreaming
UNDECOVER AW2004-05