Art Capsule+|ノスタルジーで新しい架空の東京。「東京ゴーレム」をレポート

Art Capsule+|デザイナー 広岡 毅がAIと共に生み出した作品展が5月13日まで開催中

会場展示風景

デザイナーとして幅広く活躍する広岡 毅が生み出した架空の存在「ゴーレム」の作品を展示する「東京ゴーレム」が西武池袋本店にて5月13日(月)まで開催中。今回はその会場をレポートする。

ある日突然現れ、気がつけばいなくなっているような儚さを持ち、時に楽しく、時には荘厳で、また時には迷惑であったりもする「ゴーレム」。彼らと共存している東京の人々の情景を、様々な角度から捉えた作品群が展示されている。

会場展示風景

会場ではデザイナーの広岡に話を伺うことができた。「ゴーレム」の外観は、昔子供が遊んでいた“めんこ”に描かれていたような、解像度の低いヒーローたちからインスパイアされているのだという。埃っぽく懐かしい空気感に自然に存在することができる、少し不安定なイメージが「ゴーレム」を創り上げている。
彼らは人々の日常にふと現れる妖怪のようなもの。その実態は、「その場その場に取り残された、音や匂いや、気配の記憶。そういったものたちが、何かのはずみでカタチをもった」ものであり、見えないけれど確かにそこにあるものが可視化されたような存在だ。

思い出の詰まった昔の写真を眺めているような、どこかノスタルジーな気持ちになる作品の背景は、昭和30年代から70年代がモデルとなっている。そんな世界観の中で本当は存在しない思い出が創出され、空想の日常を懐古するような不思議な感覚が作品の魅力の一つでもある。

今回のビジュアルは、AIやペンプロッターなどを使用して作品を制作するAUTOPICTの一環として企画された。AIにキーワードとなる言葉を与えることでいくつかのビジュアルが生まれ、その中からイメージに近い作品を選びとっていく。その作業から、AIとは自分の作品を形作ってくれる制作スタッフのような存在なのだと広岡は語る。

巨大なものから人間サイズのもの。コンクリートのようなものから布をかぶっているようなもの。その場その場の雰囲気から生まれたゴーレム達は、さまざまな姿を持っている。

様々な手法で表現されているゴーレム。それらを集めた書籍やポスター、ポラロイドのアルバムなども展示され、手にとって観ることができる。

孤竺によるゴーレムイラスト
独特の感性から生まれるイメージをゴーレムのかたちで表現する図版家、孤竺(コジク)による作品。
ポラロイド作品(会場展示風景)

会場では作品展示のほか、「東京ゴーレム」の世界を紹介する冊子やポスター、Tシャツなどのグッズも販売されている。

広岡 毅 プロフィール:
1997年からフリーデザイナーとして活動。2000年5月からLEVEL1として活動開始。2007年株式会社広岡毅デザイン事務所設立。2Dグラフィックデザインを中心に、ロゴマークデザイン・Tシャツデザイン・エディトリアルデザイン・ゲームの演出やVFXデザインなどを手掛ける。

「東京ゴーレム」
会期:2024年5月1日〜5月13日(月) 
   ※最終日5月13日(月)は、当会場のみ午後6時にて閉場
会場:西武池袋本店 本館2階(中央B7)=アート カプセル+
住所:東京都豊島区南池袋1-28-1
時間:10:00~21:00 ※日・祝休日は~20:00(不定休)
WEB:https://www.sogo-seibu.jp/ikebukuro/

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