Fondation d’entreprise Hermès|自然との共生を育むため、エルメス財団が人類に問いかエコロジーの概念とは。「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」展を銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催。ダイアローグ1は崔 在銀の個展「新たな生」
Photo: Nacasa & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
エルメス財団は、銀座エルメスフォーラムにて10月14日よりアートにおけるエコロジーの実践を問う「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」展を開催。地球規模の気候変動に向かう取り組みなど、我々が直面するエコロジーに対する課題は、生態系、経済、社会、政治などの様々な要求の均衡について問いかけ続けている。現在、あるいは将来、我々はどのようにアートを通じてこれらの問題を考察していくことができるのか。このエコロジーの概念を、広義の「循環するエネルギーの有り様」として捉え、地球環境におけるつかの間の漂いである人間の生やモノについて、自然との関わりからアプローチするアーティストたちを、個展とグループ展の2つのダイアローグの形で紹介することが本展覧会の趣旨である。
Photo: Nacasa & Partners Inc. / Courtesy of Fondation d’entreprise Hermès
ダイアローグ1と題された第一弾は、環境や自然との対話を継続してきた一人の作家、崔在銀(1953年韓国・ソウル生まれ)の40年に亘る実践を個展形式で振り返る。崔は1976年の来日を機に生け花と出会い、草月流三代目家元、勅使河原宏への師事を経た後、1980年以降、アート作品の作り続けている。本展は、生存に関わる自然生態系の事実を直視しながら、自然との理想的な共存関係を再構築するプロセスとして、崔の過去作と新作を織り交ぜながら紹介。世界7カ国に和紙を埋めたのち時を経て掘り起こした「World Underground Project」、韓半島を南北に隔てる非武装地帯(DMZ)で自然が自己組織を通じて実現している生態系を未来のビジョンとし、森の復元を試みる「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」などの現行のプロジェクトのほか、白いサンゴを用いた新作「White Death」を通じて、切迫した環境危機の様相に静かに迫る。緊急事態への警告と静かな詩情、生に潜在する暴力と美の振れ幅の中で、自然との理想的な共存関係をさぐり、希望を探究する。
時代の問題意識を反映しながらも、深い洞察に基づく独自の活動を続けてきた一人の作家の視点を通じてエコロジーの課題を振り返り、作品の中を循環する時間、有限無限の生命といったアートが問い続ける普遍的な問いが、等身大の対話として思索される。
エコロジー:循環をめぐるダイアローグ 「新たな生」 崔在銀(チェ・ジェウン)展 会期: 2023年10月14日〜2024年1月28日 会場: 銀座メゾンエルメスフォーラム8・9階 住所: 東京都中央区銀座5-4-1 電話番号: 03-3569-3300 開館時間: 11:00〜19:00 ※入場は18:30まで 休館日:不定休 料金:無料