FEATURE|SAN SAN GEAR interview with Lee Sangyeob about Parco Shibuya Pop-up Store

FEATURE|SAN SAN GEAR 2026-27年秋冬「CABLE」 ポップアップを通した視点とブランドが秘めた明解なき心地良い問いかけ

Photo: Courtesy of SAN SAN GEAR

ソウルを拠点とする「SAN SAN GEAR」は、9月16日から27日まで、渋谷PARCO1階POP UP SPACE「DAIROKKAN」にて「SAN SAN GEAR FW26 CABLE PARCO POP UP STORE」を開催。2026-27年秋冬「CABLE」は、「高度に断片化した現代の超個人主義の裏側に存在する、目に見えない緊張感と繋がりに着目」あるいは、「独立した個人と無数のネットワークの間に生まれる矛盾した関係性」が隠喩となっている。それに関して、ブランドの創業者であり、クリエーティブディレクターであるイ・サンヨプは、「我々がシーズンを準備するときは、個人的な感情に集中することがほとんどです。2026-27年秋冬の準備していた当時、関係性…特に人と人の関係性についてたくさん考えるようになった時期でした。この現代社会に限っていえば、ソーシャルネットワークに対する疲労感というのは目を背けずにはいられません。 それに対して健全に並走する手法はあるのだろうか、という思考の過程から至った主題です」と語る。それに追随するように対照的な、人との関係性といったところだからか、実に明快な一貫性がある。

Photo: Courtesy of SAN SAN GEAR

「CABLE」というコレクションを通した探究の一部である本ポップアップでは、主題をプロダクトへの反映に留めず、マガジンや実店舗、映像制作など、あらゆるクリエイターの視点へと拡張して提示している。「このポップアップに合わせて、日本語版のマガジンを作りました。他にもミックステープ形式のアルバムとビデオ制作…それと同時期にハンナムの店舗の設営。複合的なコンテンツにしたのはあらゆる視点が欲しかったからです。各領域のプロフェッショナルとの対話はブランドにとっても私個人にとっても有意義な時間でした。共通言語も違うし、制作のプロセスも異なる。ブランドの成長過程において、今このタイミングで異なる創作言語を保有する作り手たちとの交差は重要でした。もちろん障壁は多くありましたが、会社の体制も整っているからこそ、それに耐え得る強度のある状況であることも身を以て実感できました。想像と認識では大きく異なりますから」。

Photo: Courtesy of SAN SAN GEAR

今回の会場となる DAIROKKAN は、渋谷 PARCOがかつての「Parco Book Center」へのオマージュとして、本と人をテーマに設けた空間で、ジャンルを越えたクロスオーバーを志向している。こうした空間の特性に合わせ、今回のポップアップはマガジンを中心に構成。「韓国に次いで最も重要なマーケットの場として日本と見ています。他国ではありますが、来場してくださる方、友人、クリエイター…異文化で他言語ですが、プロダクトを中心にマガジンや空間を通して人とコミュニケーションを取れる場はコンテンツを複合した成果だと思っていますし、スタートである今日だけでも予期せぬ対話がいくつも生まれます。私自身も学びや新たん出会いがあって、この先のプランを企てるのがより楽しみになりました」とサンヨプは続ける。空間中央のテーブルに新たな発行媒体『SAN SAN GEAR Vol. 3: CABLE』を展開し、来場者がその場で自由に閲覧できる。この本は、2026-27年秋冬「CABLE」コレクションのローンチを記念して発行する「SAN SAN GEAR」の 3 冊目のマガジン。先述した「目に見えない緊張感とつながり」をテーマに、世界各都市のクリエイターとともにさまざまなストーリーを編み上げた。DJ兼プロデューサーのBOJVCK、バンドWACK、 ハンナムのフラッグシップの空間デザインを手掛けたDAIKEI MILLS の KEISUKE NAKAMURAへのインタビューを始め、DRiPKAST、Shura などのビジュアルアーティストによる作品も収録。今回のポップアップでは会場で商品の購入者に、購入金額・点数にかかわらず 1 人 1 冊を配布している。 さらに、また、9月18日からは、台北を拠点とするブランド「SEALSON」とのコラボレーションアイテムも展開。「SAN SAN GEAR」は今回のポップアップを通じて、2026-27年秋冬とマガジンを一つの空間で展開し、コレクションから生まれた「つながり」の概念を、ファッションと出版、そして異なるクリエイターの視点が交差するかたちで拡張して提示している。

Photo: Courtesy of SAN SAN GEAR

こうしたある種のブランドの視座は今に始まった、今回だけに限った眼差しではない。この先ローンチされる6月のパリメンズファッションウイーク中に発表された2027年春夏のショールームで披露したプレゼンテーションではドイツのアーティスト、クレメンス・フィッシャーとの共作によるメカタイプの異様なオブジェが展示されていた。「まだ私たちでさえ、その先が見えないほどに大きな、広い文脈でコンテンツを捉えています。2027年春夏のプレゼンテーション然り、制作に取り掛かっている2027-28年秋冬然りです。今回は関係性や緊張感といった主題が支柱にありましたが、次はそれをどのように解すか、が手掛かりになると思います」。

Photo: Courtesy of SAN SAN GEAR

彼らの視座は、人の気配がPARCO特有の「追うような」空気と、テックウエア固有の服のカタチやサイズに捉われず、身体を守り、快適に過ごすことができる軽やかさは身体を通した生活、営みそのものを誇りとして捉える感覚に向かう。身体と服の関係性を拡張させ、ひとつの服が複数の着こなしを可能にする思索は、着る人の自由な発想と他者と交わることでの楽観性を引き出す。ひとつのコレクションに込められた変化の可能性は、服そのものに織り込まれながらも、人の直感の使い方が緻密な構造に自然に馴染んでいく。固定概念よりも真正性や合理性といったとこだろうか。いや、それらはあまり意識していないようにも見える。「率直に申し上げると、この複合的なコンテンツの具体的な成果はこれといった答えはありません。それ以前に、そこをクリアにしたいとも思っていなかった。ただ、様々な視点はどの人にも必ずあって、その誰もがどこからしらでフィットする多様なコンテンツを準備しているつもりだったので、そう感じるのかもしれませんね。明確は正解はありませんが、映画だったら映画なりに、音楽なら音楽なりに、写真だったら写真なりに、それぞれのコンテンツの中に人間との関係性だったり、そういう対話の仕方みたいなものに対するそれぞれの回答を見つけてほしいなと思っています。 そういう問いかけを継続して、答えらしきものが見出される。それがブランドの新たなアイデンティティーになり得ると思いますし、「らしさ」になるのかと思います」。

対話や感情の力にフォーカスされたには様々な感情が映し出される。それらの感情はとても親密で個人的なものでもある。自分自身であることの自由と、お仕着せのドレスコードではなく生き方としてのリアリズムを、設立からまだ7年ほどではあるが、「SAN SAN GEAR」は既に持ち合わせている。社会的規範や合理性に対する疑念を起点にした現代的であり、ユースの考えや行動にも目を向ける姿勢は、個人の想像力を正当化し、確立する。それはどのようなプロテストよりもエネルギーに満ちて溢れているのかもしれない。

SAN SAN GEAR PARCO POP UP STORE
期間:2026 年 9 月 16 日(水) – 9 月 27 日(日) 場所:SHIBUYA PARCO 1F POP UP SPACE「DAIROKKAN」

所在地:東京都渋谷区宇田川町 15-1
営業時間:11:00 – 21:00 ※ 渋谷 PARCO の営業時間に準ずる

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