MIKA NINAGAWA|アートとファッションの必然的な交差。東京の新たな象徴たちが蜷川実花展「Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」開催を祝す共作

MIKA NINAGAWA|「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」を舞台に、蜷川実花と東京の新たな「顔」が初のコラボレーション。不屈の精神の交差は、イメージや世界観といった曖昧さを飛び越え、鮮明な物語となる

Photo: MIKA NINAGAWA(Lucky Star)

12月5日より虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE」にて開幕する「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」は、写真家、映画監督の蜷川実花がクリエイティブチームEiM(エイム)として圧倒的スケールに挑む、アーティスト人生史上最大規模の展覧会。その開催を記念して、蜷川が東京を拠点とする4つのファッションブランドとの協業を発表。

これは単なる気鋭の若手ブランドをこれまで30年以上のキャリアを持つ蜷川がフックする一企画ではない。

蜷川自らがオファーを送り、デザイナーたちは快諾。実際に蜷川のアトリエを訪れ、

これまで撮り続けてきた膨大なアーカイブから自身の琴線に触れながら、蜷川と自分たちの精神が交錯するそのニュアンスを解釈。

一着の服に落とし込んでいる。

本展覧会のために制作した映像インスタレーションを中心に、写真、立体展示などで構成された全11作品が一堂に会する、キャリア最大規模となる体験型展覧会の中で、この企画を発案したことに対して蜷川は「今回、大きな挑戦となるとても大切な展覧会を開催するにあたり、スペシャルなコラボ商品を作れたらなと思い始まった企画です」と語っている。続けて、「ご一緒したいブランドに自分でアタックして実現しました。才能ある方たちの感性で切り取られた写真は、私が撮ってきたものなのに違うものに見えてきて、衝撃を受けましたし、自分の写真を通して世界が広がっていく感覚は新鮮で、とても幸せな体験でした」とも。

蜷川のファッションに対する造詣は深い。自身のスタイリングをInstagramに投稿するだけではなく、デザイナーとのコミュニケーションにも積極的。

スケジュールの都合が合った時には、パリファッションウイークにも出向くこともある。

これまでの功績を踏まえると、自身のキャリアと同等の歴史を築いているブランドとの協業に向かっても不思議ではないが、

今回の企画で声をかけたのは東京を拠点とする新たな象徴であった。

FETICO × MIKA NINAGAWA

Photo: MIKA NINAGAWA(Lucky Star)

まずは「フェティコ」。2022年にJFW NEXT BRAND AWARD受賞、今年はTOKYO FASHION AWARDの受賞やパリでの展示会、東京と香港で立て続けにランウェイショー形式で新作を発表するなど目覚しく自らの場を拡げている。

舟山瑛美は新たな女性の姿を探究しており、ソリッドなシェイプ、大胆で繊細な生地使いといった思考はシンプルだが、一本筋の通った強い信念を感じさせる。舟山の新しい女性像とはその強さに起点があるように感じさせるが、それは蜷川の姿勢とも通ずる。常日頃、「女性の背中を少しでも押せる存在になれたら」とアイコン的な発信を欠かさない蜷川にとって「フェティコ」、舟山のアティチュードは根底で共鳴しているのかもしれない。

今回の協業に関して、舟山は「蜷川実花さんの作品の鮮やかな色彩や、切り取る独自の世界観の一ファンでした。今回コラボレーションのお話をいただき、何千もの作品からFETICOのクリエイションと共鳴するであろう写真を使用させていただきました。あくまでファッションとして、アートを纏える素敵なアイテムに仕上がったので楽しみにお待ちいただければ幸いです」というコメントを残している。

KIDILL × MIKA NINAGAWA

Photo: MIKA NINAGAWA(Lucky Star)

「キディル」のデザイナー末安弘明と蜷川は20年前、ロンドンで出会っていたそう。当時キャリア初期であった蜷川は小山登美夫ギャラリーの小山たちと共に視察の一環だったのだろうか、アーティストやデザイナーといったクリエイターたちとロンドンで交流を深めており、その中にまだ自らの世界を構築する前の末安もその一人であった。当時から今まで蜷川を追って見続けてきたデザイナーにとって、思いも寄らぬコラボレーションとなったようだ。

「蜷川実花さんとは、20年前にロンドンでお会いしてから、今回が初めてのお仕事になるので、長い月日を経て、一緒に物作りが出来たことが何より嬉しい出来事です。彼女の写真や映像作品はずっと見続けてきました。虚構と現実、日常と非日常、という視点で彼女の撮影した写真を選び、KIDILLとのコラボレーションを行っております。蜷川実花さんの作品を大胆に纏えるような唯一無二のアイテムだと思います」と語る末安は、独自のパンク精神をあらゆる手法で形にしている。

その精神は蜷川にとってもそう遠くない。蜷川も出自はストリートともいえる。花や人、都市といった何気ない日常や自身の身近にある美を自身の眼を通して彩りを与える。決して華やかだけではない生な有様は、蜷川にとって常に心に響く存在ともいえるだろう。

M A S U × MIKA NINAGAWA

Photo: MIKA NINAGAWA(Lucky Star)

「エムエーエスユー」は日本のファッションの世界で、最も注目を浴びているブランドといっても過言ではない。機知に富んだアイデアとそれを具現するための物質への眼差し、そして理知的でありながら、誰しもが体感したことのある感覚を呼び起こすストーリーテーリング。最近の彼のデザイン言語の拡張は著しい。蜷川は私生活で「エムエーエスユー」のスパイキーブルゾンを愛用しており、それは後藤愼平の目にも留まっていた。夥しい数の蜷川の写真を時間をかけて眺めていた後藤は、色鮮やかな花々の写真ではなく、蜷川の写す人間の生々しさや業と向き合った写真に心惹かれたという。「実花さんの無数の作品群を見せてもらって私が特に惹かれたのは、代表的な彩度の高い花の作品だけではなく、実花さんの日常を切り取ったものでした。日常生活において、たとえ同じ場所で同じものを見ていたとしても実花さんしか持ち得ない眼差しがあり、そこに宿る色気や哀愁、肉肉しさに美しさを感じたのです。私の思い入れのある作品のひとつであるスパイキーブルゾンは、実花さんも普段からご愛着くださっていたことからこのデザインでいこうと決まりました。ファッションアイテムでありながら、作品と呼べるものになったと思います」。後藤はパリで発表予定となっている次回コレクションの制作の真っ只中。彼の中で無数の言葉が溢れる状態の中での蜷川との交差は、それに拍車をかけることになったのかもしれない。

TENDER PERSON × MIKA NINAGAWA

Photo: MIKA NINAGAWA(Lucky Star)

「テンダーパーソン」も蜷川の私生活の中で触れてきたブランドの一つ。自由なアイデアと奔放な服作りはどこか懐かしささえ感じさせるが、蜷川の世代にとっては初期衝動を思い起こさせるのかもしれない。独特の色調、グラフィック使い、そしてディテールや仕様に対して常に心を擽られたのだろう。ビアンカは「学生時代に好きな作品として見ていたのは今でも自分のエッセンスの一つで 色使いや世界観の切り取り方どれも感無量でした。今回実花さんと一緒にモノづくりができて素敵な作品と私たちらしいアイテムができたと思います」と語る。今回のトップスの些細なサイズ感のパターンを引いたヤシゲユウトは「素敵な出会いを頂けたこと感謝しています。実花さんの作品に触れさせていただいて化学反応が生まれてとてもお気に入りのアイテムが出来上がりました。今回のコラボレーションは宝物になりました」。言葉は少な気だが、今回の協業で最も多くの写真を使ったこのブランドだったそう。

今回選定したブランドは、蜷川がその時の気分で声をかけたのではなく、起点が明確。決してそこから離れずにいる不屈の精神性がどのブランドにも宿っている。それは明らかであり、必然的ともいえる。

しかし同時に、今回の展覧会の制作と向き合う際に、自身の背中を押されるような思いも寄らぬ偶発性もあったに違いない。

商品は、現段階ではこの展覧会の来場者のみが入場できる物販エリアでの販売となっている。蜷川の過去最大の挑戦を楽しみながら鑑賞しつつ、コラボレーションを目の当たりしたい。

更に、「トモ コイズミ」の小泉智貴も「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」開催を祝し、一点物のドレスを制作。2022年3月の楽天ファッションウイーク会期中に開催された「トモ コイズミ」のランウェイショーでプロデュースを手がけた蜷川。それ以来、何度も小泉が作ったドレスを纏ったモデルを自身の写真として残してきた。小泉のドレス制作のために、蜷川は写真ではなく過去に手がけたテキスタイルやアクセサリーを提供。近年の小泉のサステイナブルに対する独自の解釈と蜷川の世界観を着想にしたアートピースを制作している。小泉は「実花さんには2022年東京でのファッションショーをプロデュースしていただきました。実花さんの多岐に渡るアーティストとしての活躍は、次世代の私にとってとても励みになっています。今回の個展のためにコラボレーションで特別なドレスを作らせていただけたこと、私の考える蜷川実花の世界観を表現させていただけたことをとても光栄に思います」と語る。

このドレスの全貌は12/4の関係者向けの内覧会で発表される。どのようなドレスなのか、発表の形式を含め注目が集まる。

MIKA NINAGAWA with TOKYO NEW FACES 商品概要

FETICO × MIKA NINAGAWA: MIKA NINAGAWA PHOTO PRINT MESH DRESS Price: ¥36,000+tax  Size: 1 / 2

KIDILL × MIKA NINAGAWA: FLOWERS / MOTH Price: ¥26,000+tax  Size: S / XL

M A S U × MIKA NINAGAWA: SPIKY JACKET for MIKA NINAGAWA DARK RED / PINK Price: ¥48,000+tax Size: 46

TENDER PERSON × MIKA NINAGAWA: Fantasy tops for MIKA NINAGAWA / leather bag for MIKA NINAGAWA Price: tops¥23,000+tax / bag ¥19,000+tax Size: tops M / L / bag FREE

「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」概要

会期: 2023年12月5日(火)〜2024年2月25日(日) ※1/1、1/2は休館。

開館時間: 月・水・木・日曜:10:00〜20:00 / 火曜:10:00〜17:00 / 金・土・祝前日:10:00〜21:00

※最終入場は閉館時間の 30 分前まで ※祝日は 10:00〜20:00

会場: TOKYO NODE GALLERY A/B/C

所在地: 東京都港区虎ノ門2-6-2虎ノ門ヒルズステーションタワー 45F

協賛: 株式会社ポーラ / TOKIO INKARAMI / Roadstead / ガトーフェスタ ハラダ / Audi Japan / nido / ソニー株式会社 / ソニーマーケティング株式会社 / ソニーPCL株式会社

公式サイト: https://tokyonode.jp/sp/eim/

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QUOTATION FASHION ISSUE vol.38

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